2/1 あるふぁきゅん。@原宿アストロホール
『Amphead』という、ニコニコ系のイベントに、潜入。
ニコニコ動画で活動するミュージシャンがハコバンになって、
そこに歌い手が代わる代わる登場して歌うスタイルのライヴ。
ニコニコを観ないひとなら誰も知らない、メジャーデビューしてるアーティストは1人もいない、
でも、400枚のチケットは即完なんですね。すげーっす。
女子中高生だらけの客層で、みんなビジュアル系のライブみたいに手を前後に振ってるのに、
我々怪しいおじさん3人は、恥を捨てられず、感じ悪くてすみません。
きっと人生で初めてのライヴハウスって子もいたんだろうな。それぐらい若い客だった。
有名なボーカロイドの曲が出るやいなや、
曲名を言うだけで、リフが鳴るだけで、みんな「キャー」って言うんですわ。
「妄想税」って言うだけで、みんな「キャーー」って。
ほんと、みんな好きなんだね、ボカロの曲が。
ニコニコ動画の中にある、たくさんのスタンダード曲の中から選んで、
演者がそれぞれの個性を出して演奏するのを楽しむ感じが、ちょっとジャズに似てた。
で、お目当てはというと、+α/あるふぁきゅん。という女性歌い手。
すさまじい歌唱力で、動画初投稿からわずか半年でトップ歌い手の仲間入りを果たした、
今、”ニコニコ動画では” 注目されてる女の子だ。
【十一面相で歌ってみた】カゲプロメドレー【+α/あるふぁきゅん。】 - YouTube
ところがどっこい、
ちょっと有名なボカロ曲をやるだけで、キャーキャー反応してくれる優秀な客層にも関わらず、
そんな優秀な客層ですら知らない楽曲をあえてチョイスしまくっていた。
しまいには、洋楽を聴かない若者に対して、誰も知らない洋楽を歌う、という
確信犯的なまでの、サディスティックな空気の読まなさを発揮。
見せ場は、男性歌い手とコラボしたTMR x 水城奈々のカヴァーのみで、
正直、初めて観たライヴは期待はずれどころか、0点の出来だった。
でも、ふと思ったのだ。
自分も20歳ぐらいのときは、自分のバンドをやってて、
テンポ60で13分の曲とか、やってたなって。
自分が心底良いと思える楽曲・演奏を、100%表現しきることがなによりの喜びだったのだ。
でもバンドが解散しかけてる21歳の頃に、僕はようやく気がついた。
正直、今日のライヴの演奏がよかったか悪かったか、その評価は、かなり観念的だ。
自分たちも含めて、誰にも分からないことだ。
だって、観てくれたお客さんが、良い!って思ってたら、それでもう十分なんだから。
そして、自分たちが最高!と思える演奏ができたときよりも、
ステージの上から気持ち良さそうに揺れてる人が見えたり、泣きそうな顔してる人が見えたり
ライヴが終わったあとに知らないひとから「すごくよかったです、CDください!」って言われたり
そっちの方が、ずっとずっと嬉しい&音楽やっててよかったって気持ちになれるって、
バンドが解散するのを目前にして、気がついてしまったんです(手遅れ)。
つまり何が言いたいかって言うと、
たくさんのひとにウケそうなことをやることは、客に媚びるってことじゃないってこと。
結局、目の前の客が喜んでて、それで一番嬉しいのは自分。
「客に媚びる」風に、みんなが喜びそうなことをたくさんやることは、
結局、自分が好きな音楽を好きなようにやるのとおんなじ、自己満足へとつながるのだ。
音楽をやることなんて、どこまで突き詰めても、自己満足でしかありえない。
究極の自己満足を得るために、目の前の客を、1人でも多くの客を、
楽しませることを考えたらいいと思ったんだな。
きっと、「あなたのライヴはサービス精神がなさすぎる」って言われたら、
どんなアーティストも「うるせーよ。好きでやってんだから、ほっとけ」って思うと思う。
でも、そうじゃなくて、好きでやってんだからこそ、より高次の自己満足を目指して、
どうしたら、より自分が気持ちよくなれるかを、広くてフラットな視野で考えてみてほしい。
そんな話もしながら、旧知のおじさん3人は、ライヴ後、久しぶりに杯を交わし、
いやー、久しぶりに楽しかった。
西脇君&桜庭さんと、また何か一緒にやりたいな。
現実社会・日常生活とリンクしすぎた歌詞だと、
現実社会が大変だったり、つらかったり、うまくいかなかったりすることだらけなことは
みんな知ってるから、面白くない、と。
あまりにもファンタジーに寄りすぎると、想像力がついていかなくて、感情移入できない、と。
現実世界をベースに、そこから半歩だけはみだすようなファンタジーが求められている、と。
キャラクター設定と状況設定は、どこにでもありそうな感じなのに、
その日常の中にファンタジーが起こる、そんなストーリーが求められていて、
そのはみ出し加減の塩梅がとても難しい、なんて話を、してた。
桜庭さんが言うことは、相変わらず、深いわ。考えさせられる。
また飲みに行きたい。毎月、この3人で呑みたい。